感想文: スタートアップRuby 「前に進み続けるRubyistたちが一緒にいてくれるのです」

 先月から勤める会社の人たちが書いた本、「スタートアップRuby」を読みました。 #ステマ

たのしい開発 スタートアップRuby

たのしい開発 スタートアップRuby


 この本は、プログラマの「心技体」を伝える本だと、私は思っています。
 他の技術書が「技」を説きつつとそれを裏打ちする「心」をほのめかすのに対し、この本は、

  • プログラムと仲間を愛する「心」
  • 「心」を発揮する為の「技」
  • 「技」を実践する「体」

の三つすべてを伝えようとします。その為に実在のRubyistの体験談をさしはさんだドキュメンタリーつき技術書という珍しい体になっており、それがこの本が好評を博している理由の一つだと思います。

 「心技体」というと言葉で、悟りを開いた導師をイメージしてしまったかもしれませんが、この本の筆者たちは決してそんな感じではありません。Rubyと、チームと、コミュニティを愛する熱いプログラマが、新入りチームメイトを迎えて大はしゃぎしながら自分の好きな技術を「あれ知ってる?、これもすごいよ!」と目をキラキラとまくしたてているような本です。

「心」の章

 この本の第一章は、「たのしい開発」に憧れる心を持った筆者の一人が、プログラマの世界に飛び込み、あがき、Rubyのコミュニティにたどり着くまでのお話から始まります。同じ類の思いを抱えて最近転職した私には、一番大好きな章です(私は筆者ほど必死の努力はしていませんでしたが(^^;)。

「技」と「体」の章

 日々より良い開発をを模索し続ける筆者たちだけに、「技」の内容も欲張りです。RubyRailsに限らず、TDDやアジャイルなどの開発プラクティスまで。技術の詳細な解説というよりも、開発のリズムや呼吸などの「体」まで伝えるべく、今日から実践できる具体的な方法がピックアップされています(いわゆる「写経」はエッセイになってたけど、本当はちゃんと一項目割いてやり方を書きたかったのかも)。

 欲張りな内容だけに、「ちょっと初心者にそれは速すぎ!てんこ盛りすぎ!」と思う部分もありますが、そこはご愛敬(^^;。

「心技体」の章

 大好評の第10章、相澤さんがSIerRubyを導入したお話では、Rubyを愛する「心」を「体現」すべく、必要な「技」を自分で探り、努力し続けた日々が語られています。「心技体」がすべて含まれており、まさに圧巻です。

「前に進み続けるRubyistたちが一緒にいてくれるのです」

 最終章のこのフレーズが、私の一番好きな言葉です。
 意外と安全牌なレールの上を歩けていた私でしたが、コードと仲間を愛するRubyistたちにすっかり魅せられ、彼らとともにありたいと願って、人生で初めてレールを外れる決意で今の会社の門を叩いたのでした。
 まっすぐなRubyistたちと過ごす日々は、エキサイティングで、そしてとても幸せです。
 あなたも私たちの仲間になって「たのしい開発」をしませんか?